天鵞絨とは

【読み:てんがじゅう】

平織りか綾織の縦糸の表面に短い羽毛(パイル)を織り出してあり、柔らかな肌触りと深みのある色艶や光沢感が特徴のパイル織物です。きめ細かさと吸湿性も持っています。元々鹿の角芽(若鹿の角が生えてくる時に盛り上がってきたところ)に生えている柔らかい産毛のことです。角が伸びてしまうとこの毛は無くなってしまいます。
13世紀頃のイタリアが発祥の地で、日本には約500年前に渡来したといわれています。国産されるようになったのは昭和に入ってからで、現在では福井県が主要産地となっています。柔らかく上品な手触りと深い光沢からドレスやスーツ、コート、帽子などに広く用いられます。和装のコート、和装小物にも用いられる素材です。
天鵞絨は「ベルベット」「ビロード」ともいいます。天綿を素材にした綿ビロードは別珍(べっちん)、別珍の中でパイルをうね状に織ったものをコーデュロイ(コール天)といい、ベロアはベルベット調に編まれたニットの呼び名に使われているようです。
手入れには注意が必要です。生地に毛並みがあるのでアイロンはかけられません。クリーニングはドライが無難です。
絹のものは虫もつきやすいので注意が必要です。多少のしわは蒸気に当てれば回復しますが、保管の際はハンガーにかけて、しわが寄ったり毛が寝てしまわないようにします。

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