紅花とは

【読み:べにばな】

紅花は山形県を代表する「最上紅花」として、有名でした。花はアザミに似たキク科の植物で、原産はエジプトでインドを伝わって飛鳥時代頃に日本に伝来したそうです。漢方薬として用いられたり、口紅に使われていました。東洋種の紅花には棘があり、そのため、早朝、まだ棘が柔らかくて指に痛くないうちに、花を摘み取るといわれます。源氏物語に出てくる「末摘花」は紅花のことです。

米沢藩では収める年貢の一部に、一定の米や漆、紅花、青苧、真綿などの特産品の買い上げ代金をあてる方法が採られていたため、紅花も藩の買い上げ制度がありました。紅花は米の100倍とも、金の10倍ともいわれるほど高価なものだったようです。

紅花染めは草木染の中でも色の定着が難しい染めといわれています。また、色がさめてしまう退色も激しいので、思い通りの色合いに染めるのが非常に難しいそうです。紅花からとれる染料のうち、99%が黄色で、赤はわずか1%に過ぎません。一端の着物を紅に染めるには90~100万輪もの華が必要とされる、赤としては非常に貴重な染料です。

紅花で染色された糸は、太陽光線によって薄く柔らかいピンク色に発色します。色の出具合は気温や湿度などの条件で変化し、簡単には望む色になりにくいといわれています。紅花から採れる染料では、紅の他に黄色やオレンジ色、ピンク色などに染めることができます。また、媒染剤によってはグレーや緑色などにもなりますし、黒紅花とよばれる黒色も出すことが可能です。 紅花紬はその色の柔らかな感じと素朴な風合いが好まれています。

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