八寸名古屋帯とは

【読み:はっすんなごやおび】

仕立てあがった帯の幅が八寸(約30cm)の帯のこと。一重太鼓で結ぶ名古屋帯には、八寸のものと九寸のものとあります。八寸帯は織りあがった帯の幅が八寸で、帯芯を入れず、たれの部分を折り返して両端や手先をかがるだけで仕上げられます。このため、かがり帯ともよばれます。八寸名古屋帯は織りあがった帯の耳や、かがり糸が見えます。

参考までに、九寸名古屋帯は、仕立てる前の帯幅が九寸で、裏に帯芯を貼り、両端を五分ずつ織り込んで仕立てるために、仕上がりは八寸になります。八寸名古屋帯と、九寸名古屋帯が混同されやすいのは、この仕上がりの幅が同寸になることによります。

八寸名古屋帯は、大正時代頃に、帯芯不要なことと、仕立てが簡単であることが好まれ、とても流行しました。しかし、帯芯のないことから重厚感に欠けるために、普段着用に用いられるものになりました。

帯幅から由来する命名のため、八寸名古屋帯の種類は豊富です。多くは織りの帯で、袋帯や洒落帯、佐賀錦などの重めの織物帯、紬糸による紬帯など、さまざまなものがあります。別名袋名古屋帯ともいいます。小紋や紬の着物に用いられることが多く、着付けには、ての部分を半分に折って、胴に巻きつけて、一重のお太鼓に結びます。二重太鼓に結ぶ袋帯に比べて、帯の長さは短く、九尺五寸(約3.6m)です。

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