引抜きとは

【読み:ひきぬき】

歌舞伎衣装の一種です。いろいろ種類があり、『かぶせ』は、上の衣装を引き抜くと帯を境に上下がはずれ、下の衣装が出てくるものです。目先の変化をねらう演出には最もよく使われ、一般に「引抜き」というとこれをさします。『ぶっかえり』とは、上半身の衣装が肩山の線で割れて前後に落ち、帯から下を隠して別の衣装に変わったように見せるものです。裏に別の着付がたたみ込まれています。このほか『袋かぶせ』、『袖落し』、『さしこみかぶせ』などがあります。これらの仕掛けは、太い絹糸で、上に重ねる衣装を粗くとじ、その糸の先に衣装と同布のつまみの玉をつけておき、演技中に後見[=演技中、後ろにいて役者の世話をする人]が玉を抜いて糸を引き抜き、上部の衣装をはがしたり、変化させたりします。

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