単衣とは

【読み:ひとえ】

五ツ衣の下に着る、裏のない単衣仕立てにした衣類の総称です。袷に対する語で、多くは夏用の単衣の長着の略称として用いられます。更衣は日本の風土に合わせたもので、初夏と初秋に着る単衣と盛夏に着る単衣があります。6月と9月は、袷と同じ生地の単衣仕立てのきもの(縮緬、御召など)、7.8月は薄物の単衣(絽、紗、上布、麻縮など)を用います。または古服の名で、衵(あこめ)の下に男女ともに着用した裏のない衣のことです。
この衣はもとは直接肌に着けたものといわれていますが、後世では白小袖を下に着ます。その形状は以上の衣(袿)と似ていますが、裄・丈の寸法が一層長大に仕立てられており、表着との配色関係から色は紅のほか青・黄・白などが用いられ、これが五ツ衣の下にあらわれて女房装束の配色美をととのえる上で重要な役割をはたしています。単の端は「捻る」といって、くけずに糊で巻いてあります。地質は固地綾、文様は唐花菱を組み合わせた幸菱が用いられています。夏は単重(ひとえがさね)といって単二枚を縫わずに袖口、褄などをひねり重ねて一枚の衣のようにし、表・裏の色には重色目を応用しました。

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