裃小紋とは

【読み:かみしもこもん】

江戸時代、武士の礼装であった裃に用いられた小紋柄の総称です。 各大名は、それぞれの自藩の定め小紋を裃に染めたので、この名があります。現在は、江戸小紋に属する淡色型染の小紋です。江戸城中ですれ違う武士たちは、その裃の小紋柄で、その人物が何藩の武士であるかがわかったといいます。徳川家の御召十、薩摩島津の鮫小紋や佐賀鍋島の胡麻柄小紋などが代表的で、その文様はどれも芥子粒(けしつぶ)のように小さい型染です。そのため型彫り、型染職人は相当の熟練を要しました。明治期、裃小紋は一般大衆の文様として、用いられるようになりましたが、現代風の派手な小紋におされ、戦前には非常に少なくなりました。 その後、昭和30年に、裃小紋をはじめとする小さい型染の小紋がまとめられて、江戸小紋の名で国の重要無形文化財に指定され、現在は江戸好みの粋に通じる染着尺として、脚光を浴びています。

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