手拭いとは

【読み:てぬぐい】入浴、洗顔、汗拭きなどいろいろに使用される布片です。古くは、麻、のちに木綿を用いました。平安時代には、すでに神事の際に用いられていました。室町時代には、約97cmの長いものを「手拭い」、約36cmのものを「汗拭い」といい、区別していました。また、鎌倉時代には、かぶり物としても用いられて、近世初頭に踊りが流行するのに伴い、「手拭い」も広く普及していきました。そのなかには、緞子(どんす)[=紋織物の一種。練り糸で織った地の厚い、光沢のある絹織物]や縮緬(ちりめん)を豪華な色に染めたり、歌舞伎役者の紋所や麻の葉文様などを染めたりしたものもありました。巻き方については、江戸時代以前は、鉢巻き、頬冠り(ほおかぶり)、桂巻き(かつらまき)が多いですが、江戸時代に入ってからは、米屋かぶり、吉原かぶり、ひょっとこかぶりなど、30種ぐらいのかぶり方が考案されました。用途も広く、手ごろで、意匠をこらした手拭いは、近代以降も商店などの配り物などに喜ばれていましたが、近年、タオルにおされ、減少しています。

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