帽子とは

【読み:ぼうし】

日本で用いられた「帽子」は、大別すると三つの段階があります。第一段階は、男物のかぶり物である「烏帽子(えぼし)」です。これは、飛鳥時代の「圭冠(はしこうぶり)」が変化したもので、絹、紗(しゃ)でつくられていました。平安時代末期から、漆塗りのかたい「立烏帽子」、「折烏帽子」、「侍烏帽子」ができ、「烏帽子」をしないことは、非礼なこととされていました。武家社会では、「侍烏帽子」が主流で、これは、直垂(ひたたれ)、大紋、素襖(すおう)、肩衣袴(かたぎぬばかま)には、必ず付属させるべきものとされていました。16世紀後半になり、特別な儀式の際のみに限られるようになりました。第二は、女物の帽子で、室町時代から用いられはじめました。こちらには、「綿帽子」と「布帽子」とがあります。いずれも、江戸時代初期から盛んに用いられるようになり、「綿帽子」は防寒用に、「布帽子」は外出用に用いられました。第三は、欧米から入ってきた帽子で、南蛮人の渡来以後にもたらされました。とくに織田信長の外国趣味からはじまり、ほかの武将にまで波及して、当時はこれらを「南蛮頭巾(ずきん)」、「南蛮笠(がさ)」などと称していました。キリスト教の禁教とともに、一時入ってこなくなりましたが、幕末の開港とともに再度欧米より輸入され、『断髪令』がだされるとそれにより、多いに流行しました。これらの欧米渡来の帽子の女性の利用は、鹿鳴館時代で、女性の洋装が上流階級の人々の社交服となってからになります。

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